
インバウンド向け買い物事業は、大きく分けてお土産と実用的な物の2種類があります。
お土産需要についてはインバウンド向けに商品を開発するなど市場規模を拡大させる余地がありますが、基本的には訪日外国人観光客の数に比例した売上になります。
注目を集めているのが安さや日本でしか買えない理由で実用的な物を買っていく需要です。
2010年代は中国人による爆買いで家電などの買い物事業に旋風が起こりましたが、時代の変化とともに中国人の爆買いは終了しました。
昨今は欧米など幅広い国や地域からの訪日外国人観光客をターゲットにしたインバウンド向け買い物事業が伸びています。
訪日外国人観光客から人気の商品は、広告などのプロモーションをしていないケースが多いです。
多くの物がSNSなどで話題になって人気を高めていきました。
代表的な事例が職人によるハンドメイドの包丁や卵焼鍋などの調理機器です。
世界最高品質の商品はプロモーションをしなくても、口コミで広がって訪日外国人観光客が集まってきます。
昨今は中国からの爆買い特需が終了して、幅広い国や地域の訪日外国人観光客が増えました。
そのため、特定の国や地域でインバウンド向け買い物事業のプロモーションをしても、効果が限られてしまいます。
インバウンド向け買い物事業の中でも、小売店で成功を収めている代表事例がドン・キホーテです。
低価格で訪日外国人観光客の心を掴んだことに加え、免税販売や中国でシェアが高いUnionPayの対応、全店無料Wi-Fi設置などの取り組みが評価されています。
また、深夜営業も訪日外国人観光客から好評で、昼間は観光をしてホテルに一度戻ってから深夜に買い物で立ち寄れる利便性の良さが魅力です。
メーカーや生産者の目線で商品が売れるかはプロモーションよりも日本で買う利点がどれだけあるかが重要ですが、小売店についてはプロモーションで集客力を高めやすいです。
2022年にアメリカの中央銀行「FRB」が利上げを繰り返したことにより日米の金利差が拡大し、歴史的な円安ドル高になりました。
急速な為替レートの変動によって世界各地で買える商品が、日本だと安く買える現象が起こりました。
iPhoneなどのApple製品やルイヴィトンなどの高級ブランド品を日本で買う需要が急増し、転売目的で買い占める訪日外国人観光客が増加します。
その後は各メーカーが為替レートを考慮した価格改定を行い、円安特需は一服しています。
為替レートの影響に加えて、国際情勢によるエネルギー価格の上昇や賃金上昇などを理由に、様々な物やサービスが値上げしています。
急激な円安になった時はApple製品など海外メーカーの人気商品が割安になりましたが、現在でも日本製で値上げをしていない商品は訪日外国人観光客から見て割安感があります。
欧米などの海外諸国は物価上昇に伴って賃金上昇もしていて、日本よりも物価上昇が著しいです。
一例として日本のドラッグストアはインバウンド向け買い物事業が伸びていて、日用品や食品、化粧品などの売れ行きが好調です。
海外でも人気が高いユニクロは自国より安いことや免税購入できる理由から、日本のユニクロで洋服を買っていく訪日外国人観光客がたくさんいます。
日本より賃金上昇と物価上昇が進んでいる国から来る訪日外国人観光客が割安に感じる商品を扱えば、インバウンド向け買い物事業で成功するチャンスがあります。
昨今は過去に訪れた外国人観光客へ向けて、日本ならではの商品を通販で売るビジネスが伸びています。
お菓子や化粧品、和テイストの商品などをお土産で持ち帰り、実際に使ったり消費したりして満足した商品をまた買いたいと思う人を狙ったサービスです。
インバウンド向け買い物事業に特化した通販サイト・ECサイトが増えていて、対象の国と扱う商品のマーケティングをしっかりすれば成功する可能性が高いでしょう。
買い物と同様に温泉やテーマパークなどの娯楽サービス事業でも訪日外国人観光客の需要は高まっています。
お土産品だけでなく現地のサービスも人気になれば、もっと売上が見込めあるはずです。様々な分野の情報にアンテナを張っておくと思わぬビジネスチャンスに巡り合えるかもしれませんね。