訪日外国人観光客を増やすインバウンド事業拡大へ向けた国策の一環として、インバウンドホテル事業を対象に宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の補助金が用意されています。
ストレスフリー分野の補助金は令和元年(2019年)に初めて導入され、毎年度継続して実施されています。
ストレスフリー(stress-free)分野とは、多言語案内や非接触型チェックイン・キーレスシステムなどの設備を整備して、訪日外国人観光客などが快適に過ごせる環境です。
令和5年度より、ポストコロナを見据えた受入環境整備促進事業の一貫として、宿泊施設インバウンド対応支援事業と宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業がセットで案内されるようになりました。
補助率や補助額は過去の補助金と同じですが、補助金の対象設備で多機能トイレとチャットポットの導入が追加されています。
令和5年度・宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業の公募要領は以下の通りです。
コンセプト
全国各地の観光地において、全ての訪日外国人旅行者がストレスフリーで快適に宿泊できる環境を整備するため、旅館・ホテル等の宿泊施設が実施する多言語案内等、客室や共用部のバリアフリー化の推進等に関する個別の取組を支援する。
補助率
対象設備の経費1/3を補助
補助額
1施設あたり上限150万円
対象設備
※④、⑤が令和5年度より拡充
申請の必要事項
宿泊事業者5以上による協議会が申請することが必要。
一定の要件(DMOや自治体と連携し、地域のインバウンドを向上させるための具体的な取組を実施等)を満たせば単独申請も可能
▼参考サイト【観光庁】
インバウンドホテル事業のストレスフリー分野補助金は、訪日外国人観光客だけではなく、日本人の宿泊客にも喜ばれる人気のITツールが中心のため、人気が高い補助金です。
補助金を受け取るには審査に通過して採択される必要があります。
補助金の案内資料によると、採択に当たって優先する事業者の要件として以下の2点が明記されています。
▼参考サイト【観光庁】
インバウンドホテル事業のストレスフリー分野補助金は魅力的なITツールを実質2/3の費用で導入できるメリットがあります。
興味を持つ事業者が多いですが、採択されるには宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度の登録をしていることなどが必要です。
そのため、補助金を受け取っているのは大手チェーン店などの比率が高く、コンサルタントを利用するケースが多く見られます。
2/3の自己負担やコンサル費用などで相応のコストがかかるため、興味は持つけど申請をしない小規模事業者が多いのも現状です。
ただし、採択で優先される要件を満たせばその他の補助金でも優遇されるメリットがあり、インバウンド需要獲得に向けた現状と課題を把握することができます。
コンサルタントを利用しなくても各種登録をすることが可能ですので、長期的なメリットを踏まえて積極的に各種制度の登録や経営改革を検討してみてください。
今後も継続的に補助金が実施される可能性が高く、ストレスフリー(stress-free)分野の促進は間違いなくホテルなどの付加価値になります。